絶対王者の発言が波紋を広げている。
現地時間2月7日、ミラノ・コルティナ五輪のフィギアスケート団体戦男子ショートプログラムが開催され、イリナマリニン(米国)は得意の後方宙返り(バック宙)や片手側転など、アクロバティックな技で見せ場こそ作ったが、トリプルアクセルの着氷で流れを止めるなどで、合計98.00点。前走の鍵山優真は、自己ベストに近い108.67点でトップに立ったこともプレッシャーはあったかもしれない。
キス&クライ(得点待機場所)でも、彼は固い表情のまま、誰とも話さなかった。
周りの選手やコーチ、監督、誰も彼を触ろうとしない。21歳で世界の頂点に君臨し、自らを神と名乗った男の孤独を感じた瞬間だった。
その後ミックスゾーンに現れたマリニンは、「今日は全力じゃない。自分の持つ本来の力の50%ほどの状態で臨んだ。ここではそういう感覚。個人(男子シングル)に向けてペースを調整している、ということです」と強調。あくまで目標が個人戦優勝にあるとも取れる発言をした。
団体戦を軽視かのようなコメントだ。他の選手への配慮もかけている。それだけに米国内でもマリニンに対する反発が広まり、米紙『USA Today』のクレスティン・ブレナン記者は「不可解な発言」だと断じた。
『USA Today』の取材に応じたマリニンの代理人であるアリ・ザカリアン氏は「彼の発言は、聞こえた通りの意味ではありません」と釈明。状況を考えれば、苦しい言葉だが、さらにこう続けている。「彼が言いたかったのは、これから数日間の戦いを見据えてペース配分をしているということであって、常に100%の力を出しています。」
メディア『Newsweek』は、「まるで水の上を踊っているかのような完璧な演技で観客を魅了した」と鍵山の演技を絶賛。その上で「2年以上も負けていない理由を示さなければならないというプレッシャーがマリニンにはかかっていた」と氷上で絶対王者が抱いていたであろう心情を描写していた。

