「君には、ここを読んでもらう」「今からでもいい」
今年、6月20日公開初日教場requiemの大ヒットにともない、警察学校がクローズアップされました。教練という統一行動、教官による罵声ともいえる責が飛び交う。まるで第二次世界大戦の日本に、タイムスリップしたかのようである。もちろん、筆者も「戦争を知らない世代」で記録フィルムでしか見たことはありません。
映画は制作上、誇張された部分はあります。リアルな警察学校との違いについても踏み込んで、お伝えできればと思います。
質問まとめ
警察学校でスマホが使えないとどんなストレスがある?
大卒と高卒で警察学校の期間や訓練内容はどう違う?
若手警察官が「組織は筋が通らない」と感じる背景は?
現場の閉塞感が不祥事を招く仕組みについて知りたい
警察学校での適性判断がその後の昇進にどう影響するの?
警察学校でスマホが使えないとどんなストレスがある?
警察学校でスマートフォンが、自由に使えないことによるストレスについては、現代の若者にとって「地獄」と表現されるほど大きな精神的負荷になっていることが示唆されています。
具体的なストレスの内容や背景は以下の通りです。
1. 現代の若者にとっての「地獄」
元刑事氏は、海上自衛隊に入隊した息子の例を挙げ、現代の若者にとって「スマホが使えないことは「地獄」であると述べています。特にスマホ依存の傾向がある場合、そのストレスは計り知れず、これが原因で警察官や自衛官の成り手が少なくなっているという現状があります。
2. 自由時間の欠如と依存への渇望
学校生活では、夜中に動画を見たりゲームをしたりすることは禁止されていると推測されており、それができないことが大きなフラストレーションとなります。
- 物理的な時間のなさ: そもそも警察学校の生活は、食事、睡眠、掃除、点検など、あらゆる行動に時間が全くありません。スマホを触るような個人的な時間が確保できないこと自体が、強いストレス要因となります。
3. 長期間にわたる閉塞感
この制限は、大卒であれば6ヶ月、高卒であれば10ヶ月という長期間にわたります。
- 外部との遮断: 全寮制で外出も週1回(土日)に限られる中、スマホによる外部との日常的な接触が断たれることで、学校特有の「閉塞感」をより強く感じることになります。
4. 規律による管理ストレスの一部
スマホの制限は、単独のルールではなく、警察学校全体の「起律(規律)のストレス」の一部として機能しています。
- 「決まった通りに全員がやる」という徹底した組織的・管理的な生活の中で、個人の自由の象徴であるスマホが奪われることは、心理的に追い詰められる要因の一つとなります。
現在の正確なスマホ利用ルールについては「今はどうなっているかわからない」としつつも、夜間の動画視聴やゲームなどは警察学校の性格上、依然として禁止されているだろうと推測しています。確認したところスマホは所持できず、外出時のみ許可されるとのことでした。
大卒と高卒で、警察学校の期間や訓練内容はどう違う?
大卒と高卒では、警察学校で過ごす期間に違いがありますが、訓練内容については基本的に共通のカリキュラムが行われます。
1. 期間の違い
最終学歴によって、卒業配置(現場の交番への配属)までの期間が以下のように定められています。
- 大卒(大学卒業者):6ヶ月。
- 高卒(高校卒業者):10ヶ月。
2. クラス編成
大卒と高卒のクラス(教場)は明確に分かれており、それぞれ「期別」によって管理されています。入校時期もバラバラで、順次現場へと送り出される仕組みになっています。
3. 訓練内容(共通事項)
期間の長さは異なりますが、学ぶべき内容は決まっており、大体同じことを学びます。
- 実技・訓練: 全員が同じ動きをピタッと合わせる「教練(集団での行進訓練)」や、射撃、敬礼、逮捕術などの実戦的な技能を叩き込まれます。
- 武道: 柔道か剣道のいずれかを選択して修練します(一般的には2段程度までの取得を目指します)。
- 座学(勉強): 刑法や刑事訴訟法などの法学を学びますが、これらは現場に出る前の基礎知識として「かじる程度」の内容です。
- 精神・即応訓練: 夜中に突然招集がかかる「即応訓練」や、仲間との助け合いを学ぶ「30km歩行訓練」、また現場で避けて通れない「死」に直面するためのメンタル教育(ご遺体の写真を見るなど)も行われます。
4. 教育の目的
大卒・高卒を問わず、教育の真の目的は「一般の若者を、国家権力(逮捕権や交通取り締まり権限)を行使させてもよい最低限のレベルまで引き上げる」ことにあります。また、現場に出てから自分自身が不祥事案や事故を起こさないようにするための「自己防止的」な教育が中心となります。
若手警察官が「組織は筋が通らない」と感じる背景は?
若手警察官が警察組織に対して「筋が通らない」と感じる背景には、主に相次ぐ不祥事の発生と、それに対する組織の構造的な問題があると指摘しています。
具体的な理由は以下の通りです。
1. 不祥事の多発と「精鋭」の変質
警察組織では、痴漢や盗撮といった警察官による不祥事が頻発しています。
- 警察学校で「不祥事を起こさないための最低限のライン」を叩き込まれ、厳しい訓練を生き抜いたはずの「精鋭」たちが、現場(所轄)に出た後にこうした事件を起こしてしまうという現実があります。
- このような「教育と実態の乖離」を目の当たりにすることが、組織に対する不信感(筋が通らないという感覚)につながっています。
2. 組織の自浄能力や姿勢への疑問
若手警察官の中には、現在の警察組織を「筋が通らない組織」であると捉え、失望して辞めていく層が存在します。
- 昨今の不祥事の多発(田川の問題など)を例に挙げ、「我こそは是正する」という強い正義感を持った人物こそが今の警察には必要であると述べています。
- これは、裏を返せば、現状の組織が正義感の強い若者から見て「是正が必要な、筋の通っていない状態」に見えていることを示唆しています。
3. メディアによるイメージと現実のギャップ
ドラマ『教場』などで描かれる「人格破壊的」なまでの厳しい教育イメージも、若者が組織に対して「そこまでやる必要があるのか」「理不尽ではないか」と疑問を抱く一因になっている可能性があります。
- 実際には、不祥事を未然に防ぐための「自己防止的」な教育が行われていますが、現実の事件が後を絶たないことが、組織の在り方に対する疑問を深めています。
4. 深刻な成り手不足と辞退者の増加
こうした「筋が通らない」という感覚は、採用の現場にも影響を与えています。
- 警視庁では合格者の約4割が辞退しており、受験者数も激減しています(兵庫県警では以前の約1万人から1400人程度まで減少)。
- 若者が不祥事案のニュースなどを見て、組織の論理や体質に納得がいかないと感じることが、警察官を志すことへのブレーキになっています。
まとめると、厳しい訓練を受けながらも不祥事を起こしてしまう現場のメカニズムや、それらを是正しきれない組織の現状が、若手警察官に「筋が通らない」と感じさせる大きな要因となっています。
現場の閉塞感が不祥事を招く仕組みについて知りたい
現場(所轄)での閉塞感やストレスが不祥事を招く仕組みには、警察学校で蓄積された負荷と、配属後の環境や人間関係が深く関わっています。
具体的なメカニズムとして、以下の点が指摘されています。
1. 警察学校での「起律(規律)のストレス」と閉塞感
警察学校での生活は、単なる訓練の厳しさ以上に、徹底した管理体制によるストレスが非常に大きいのが特徴です。
- 管理的な生活: 掃除、点検、食事、睡眠のすべてに時間がなく、常に「決まった通りに全員がやる」という強い規律の中に置かれます。
- 閉塞感: 全寮制で外部との接触が制限されるため、強い閉塞感が生じます。現代の若者にとっては、スマートフォンの使用制限が「地獄」と感じられるほどの苦痛であり、依存傾向のある世代にとって大きな精神的負荷となります。
- 教育の限界: 警察学校は「人格を完成させる場所」ではなく、あくまで不祥事を起こさないための「最低限のライン」まで引き上げる自己防止的な教育を行う場です。そのため、過酷な環境を耐え抜いたとしても、個人の道徳性が完全に確立されるわけではありません。
2. 現場配属後の「理想と現実」のギャップ
厳しい訓練を生き抜いた「精鋭」たちが、現場(所轄)に出てから変質してしまう背景には、特有の構造的問題があります。
- 上司との出会い: 警察官がどのような道を歩むかは、「最初に出会う上司」に決定的に左右されます。
- 「適性なし」という評価による挫折: 現場の上司が部下の動きを見て「適性がない」と判断し、希望する専門部署(刑事や交通など)への道が閉ざされたと感じた場合、それが挫折につながり、心の隙を生む要因となります。
3. 不祥事案(痴漢・盗撮など)へ至るメカニズム
あれほど厳しい教育を受け、それを生き抜いたはずの警察官が、なぜ現場で痴漢や盗撮などの不祥事を起こして「腐ってしまう」のかという点について、現場特有のメカニズムが存在すると述べています。
- この詳細なメカニズムは、組織の深い問題として話しにくい内容とされていますが、「規律のストレスからの解放」や「現場の閉塞的な人間関係」、「正義感の喪失」などが複合的に絡み合っていることが示唆されています。
- 昨今、不祥事が多発していることで、若手が組織を「筋が通らない」と感じ、それがさらなる士気の低下や腐敗を招くという悪循環も起きています。
このように、学校での極限のストレスと、閉塞感を耐えた反動がある中で、配属先の現場で適切な指導や評価(適性の見極め)が得られない場合、その歪みが不祥事という形で噴出してしまう仕組みがあると考えられます。
警察学校での適性判断が、その後の昇進にどう影響するの?
警察学校での適性判断が直接的に将来の「昇進(階級が上がること)」を決定付けるというよりは、「どの専門部署に進むか」というキャリアの方向性に大きな影響を与えるというのが実態です。
具体的な影響や仕組みについては、以下の通りです。
1. 警察学校の評価は「最低限のライン」の確認
警察学校での教育や評価の主な目的は、エリートを選抜したり将来の階級を決めたりすることではありません。
- 国家権力の付与: 一般の若者を、逮捕権などの国家権力を持たせてよい「最低限のレベル」まで引き上げることが最大の目的です。
- 自己防止教育: 現場に出てから不祥事案や事故を起こさないための、いわば「守り」の教育(自己防止的教育)が中心となります。
- 組織への適合: 統一行動が取れるか、命令系統を遵守できるかといった、警察組織の「駒」として機能できるかどうかが評価の基準となります。
2. 専門部署への道は「現場の上司」が判断する
警察学校を卒業すると、成績や希望に関わらず全員がまずは交番勤務(卒配)配属先の現場(所轄)の上司によって判断されます。
- キャリアの分岐点: 上司が部下の現場での動きを見て、「刑事に向いている」「交通に適性がある」と判断することで、それぞれの専門部署への道が開けます。
- 挫折のリスク: もし自分の希望と、上司が下す「適性なし」という評価が食い違って「ふるい」にかけられたと感じた場合、それが将来的な挫折につながることもあります。
3. 昇進そのものは「実力主義」と「本人の努力」
階級を上げていく「昇進」に関しては、学校時代の適性判断以上に、その後の実力と努力が重視されます。
- 実力主義の組織: 警察は実力主義の側面が強く、昇任試験などの努力次第で、署長や本部の幹部といった高いポストを目指すことが可能です。
- 現場での評価: 上司から「人を教える適性がある」と見なされれば、教官や助教といった職務を勧められることもありますが、これはエリート選抜というよりは、適性に基づいたローテーション人事の一環です。
結論としての影響
警察学校での適性判断は、「警察官としてスタートラインに立てるか」を見極めるためのものであり、その後の具体的な「昇進」や「どのプロフェッショナルになるか」については、配属後の現場での働きぶりと、昇任試験に挑む本人の意欲が決定的な要因となります。