お笑い「天丼」の意味と由来
お笑い業界の専門用語に「天丼」という言葉がある。あの食べ物の「天丼」である。
天丼とは、トークやネタのボケの際に、同じことをあえて二度、三度と繰り返すことで笑いを取るお笑いのテクニックを意味する。
お笑い用語として天丼と言えば、同じギャグやボケを二度、三度と繰り返して笑いをとる手法のことを指す。
余り間を置かずに畳み掛けるように使ったり、他者のボケに乗っかる形で重ねる場合は、かぶせ(る)と称することもある。
言葉だけに限らず、特定の動作や身振り手振り等、ウケの取れるものならなんでも含む。
短時間のうちに連発することもあれば、相手が忘れた頃や別の話に切り替わった後に、突然前の話で面白かった部分を引っ張ってくるなど、手法は様々である。
お笑い芸人だけでなく一般の人々も自然に行なっている場合もあるかもしれないが、「天丼」という表現自体はそれほど一般には浸透していない。
具体例として、M-1グランプリ2021優勝の錦鯉のネタから、「天丼」が使われている部分を紹介したいと思う。
錦鯉【決勝ネタ】最終決戦〈ネタ順2〉M-1グランプリ2021
このネタのなかで、バナナを罠にして置いて、猿を捕まえようとするが、自分がバナナに惹かれて捕まる、という下りがある。
このバナナの下りを、畳み掛けるように三回繰り返すが、この技術が「天丼」と呼ばれている。
錦鯉のこの漫才のように、ネタのなかで天丼が盛り込まれることもあれば、普段のトークで使われることもある。
一度目にすべっているにもかかわらず、天丼(あえてもう一度繰り返す)を行なった場合、一度目がフリになって逆に大きな笑いに繋がることもあれば、悪循環でスベりが続いて抜け出せなくなることもある。
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この繰り返す技術を、なぜ「天丼」と表現するかと言うと、天丼には、一般的にエビ天が二本入っているということに由来すると言われている。
一方で、かつてフランス座(ストリップ劇場で現在の東洋館)で演じられた「天丼の出前が来ない」という台詞を忘れた頃に繰り返したことが起源だという説もある。